2012年10月29日

これまでの作業のまとめ

みなさん、こんにちは。
近頃は、朝晩が涼しくなり、ようやく秋の気配がしてきましたね。

長らく更新していなくてすみません。

日曜クラスの生徒さんは、これまでの作品の保存修復作業は終了し、10月から新しい作品に入りました。
今回は、いままでの作品の総まとめをします。
次回は、新しい作品についての方針を皆さんに展開します。
(土曜日クラスは現在進行中です。)

■土曜日クラスのCグループ
題材「波と岩」(仮題)
裏打ち布の準備をしました。新しいキャンバスは、水分を含むと動きやすくなるため、予め痛めつけておく必要があります。パスタで裏打ちをする場合は、特に、痛めつけておく必要があります。
続いて、作品の裏面掃除をしました。かなり汚れていましたが、きれいになりました。
次に、裏打ち布に、膠を塗布しました。塗布後、少し弛んでしまいました。膠を均一に塗布していないためと考えられますが、後日確認したところ、乾いた状態は問題ありませんでした。均一に塗布するのは難しいですね。
作品の裏側から、膠を染み込ませ、表側からアイロンを充てました。その際、変形修正を逆に張ってしまったため、高さを合わせるために、板で調整しました。アイロンは60℃を超えないよう充分注意し、作業しました。熱を加え、蒸気を逃がすことで、固着が強化されます。
翌週は、パスタ(小麦粉で出来た接着剤)で裏打ちを行いました。裏打ち布と作品にそれぞれパスタを塗布し、空気が入らないように注意しながら貼り合わせた後、アイロンを充てて作品と裏打ち布の接着を行いました。ポイントは、新聞紙を取り替える時間です。始めはすぐに取り替えますが、だんだん間隔を空けていき、接着剤を充分乾かして行きます。
現在は、表打ちの除去をぬるま湯で行っているところです。絵具の固着強化は上手くいっているようです。

DSCN6847.JPG

■日曜クラスのAグループ
題材「川辺の風景」(仮題)
裏打ちは、plexitolで行ないました。
まず、絵具層を固着強化するために、作品の裏から、plexisolを塗布し、乾燥させた後、裏打ちをするためにplexitolを裏打ち用キャンバスと作品裏面にそれぞれ塗布しました。次に空気が入らないように作品と裏打ち用キャンバスを貼り合わせ、表から60℃くらいにしたアイロンを充て、重しを乗せて裏打ちをしました。
後日確認をしたところ、キャンバスの裏からplexitolが、表面がツルツルとした状態で滲み出していました。恐らく、plexitolを塗布した量が多かったためと、アイロンを充てたことで樹脂が緩み、滲み出しやすくなってしまったと考えられます。その為、滲み出したplexitolをビストリで削り落としました。
続いて表打ちを剥がしました。その際、一部の箇所で、表打ちの和紙に細かい絵具がくっついてしまい、和紙とともに取れてしまいました。原因として、いくつか考えられます。一つ目は、表打ちが強すぎた。絵具層とキャンバスの接着が弱い作品であったため、通常の濃さの生麩糊を用いて表打ちをすると、和紙と絵具の接着の方が、絵具とキャンバスの接着よりも強くなり、絵具をキャンバスから浮かしてしまった可能性があります。和紙に絵具がくっついている状態で絵具層の固着強化を行っても、絵具とキャンバスが付きにくくなっていたために上手く接着出来なかったと考えられます。二つ目は、表打ちの接着性が増した。表打ちに生麩糊、裏打ちにplexitolを使用したので、それらが水に溶ける性質を持った材料なので、表打ちを剥がす際に使用したお湯(通常お湯で剥がします)によって少し溶け出し、接着性が増してしまったのではと考えています。三つ目として、アイロンを表から充てたために、固着強化用の合成樹脂が充分に絵具層に留まらなかった可能性も考えられます。(合成樹脂を塗布した場合、裏面から暖めます)そのため、絵具層が少し脆い印象がありました。(つまり絵画層の固着が上手くいっていない可能性がある)
長くなりましたが、上記のような原因が挙げられます。
まだ作品に汚れが残っていたため、アセトンを固めの刷毛で塗布し、軽く擦ってキッチンペーパーで拭き取りながら、大凸部分に溜まった汚れをクリーニングしました。
その後、ルースライニングをして、作品を木枠に張り戻しました。
これにて、保存修復作業は終了しました。

DSCN6576.JPG

DSCN6729.JPG

■日曜クラスのBグループ
題材「田舎の道」(仮題)
減圧で行なった絵画層の固着及び裏打ちは上手くいっていました。
順調に表打ちを剥がした後、和紙の繊維が残っているところをクリーニングしていきました。表打ちの和紙を取る際に、同時に汚れも取れていましたが、まだ少し黒ずんだ汚れが残っていたため、溶剤を使用してクリーニングをしました。
最後に、作品を木枠に張り戻して、保存修復作業が終了しました。

DSCN6567.JPG

■日曜クラスのCグループ
題材「白い花瓶の花」(仮題)
絵画層の固着強化および裏打ちを減圧で同時に行いました。
その後、表打ちを剥がしました。特に問題が生じなかったため、減圧作業は上手くいきました。表打ちはplexisolで行ったため、ミネスピで除去しました。
最後に、作品を木枠に張り戻して、保存修復作業が終了しました。

DSCN6658.JPG

■日曜クラスのDグループ
題材「ぶどうの静物」
減圧で行なった絵画層の固着ですが、あまり上手くいっていませんでした。原因は、裏から合成樹脂(beva)を染み込ませた際、あまり表まで行き渡っていなかったためです。表まで行き渡らないと、絵画層と支持体(キャンバス)の間に接着剤が染み込んでいないと考えられます。
また、減圧をした際、裏に書かれている文字に厚みがあったため、表に跡がついてしましました。裏から文字の厚みをビストリで削り、少し水を含ませて、表からアイロンを充て、平坦化しました。
続いて細かい亀裂を直すため、亀裂部分に合成樹脂(beva)を塗布し、コテを充てて剥離止めを行ないました。
次に、作品の耳の部分を強化するために、ストリップライニングを施し、作品を木枠に張り戻しました。
張り戻した後、亀裂がまだ気になったため、部分的に剥離止めを行いました。
これにて、保存修復作業が終了しました。


各チームの皆さん、お疲れ様でした。
それぞれ、上手くいった点、いかなかった点がまとめられ、一歩でもステップアップ出来たら幸いです。
posted by スタッフA at 16:17| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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